免許証の自主返納と認知症

認知症が始まっているじーじが、自ら免許証を返しに行きました。 びっくりです。脳の健康な部分が働いたんだね~!

もう、ここ1年くらい、ほとんど運転はしていないんだけど、半年ほど前、何を思ったか、急に「友達に会いに行く」と車で1時間以上離れた町に行こうと駐車場に向かい、大慌て。説得したけど聞かず、ばーばが着の身着のまま追いかけ、二人で出かけました。運転が嫌いなばーばが大部分を運転したみたい。

その後何度か家族でも話はしたんだけど、「免許証を返すとかより、じーじが車に乗らないことのほうが大事」ということで、車のカギを隠しました。

田舎暮らしの車事情

田舎に住んでいると、車は生命線です。町医者は近くにあるけど、専門医や総合病院は車で行かないと無理だし(公共交通網が不完全だから)子供のものを売っている店もない。電気屋さんも、おじいちゃんが亡くなり、閉店。こんな話はきりがない。

ニュースなんかでも時々取り上げられているけど、高齢者の事故が増えて大変。でも、そう簡単に車を取り上げられない。田舎ではごく身近で深刻な悩みです。ふみ姉のところは3世代同居だからまだしも、周りの高齢者だけの世帯では、本当に大変な問題ですよ。

でもね、いくら同居していても、私たちは仕事をしているから、今までのように行きたいときにいつでも出かけられる環境じゃなくなるじゃない? コントロールしたいタイプのばーばにとって、息子や嫁に「連れて行って」と頼むのはかなりなストレスなはず。じーじの免許証放棄は、ばーばにとってもスケジュールのコントロールを放棄することなんです。

ここ1年くらい、医者や日曜日の家族サービスは、パパが運転して連れて行ってるのね。平日のときはふみ姉が自宅でパソコン仕事をしながら店を開ける。 アットホームで、家庭の事情には最大限配慮してくれる、田舎ならではの会社の体制に助けてもらっています。

でも、息子に「医者に連れてって」と言って仕事を休ませ、嫁のスケジュールに影響を与え、スーパー銭湯に連れて行けだのデパートに行けだのって、言いにくいよね。ゆっくりして来たら?って言うんだけどね。で、少しづつストレスがたまり、じーじに当たりが強い今日この頃。病気だからしかたないのに・・・といたたまれない思いもするけど、ストレスを発散できないばーばのイラつきもわかる。

これは便利!グーグルカレンダーで夫婦のスケジュールを共有

ふみ姉たち夫婦は、グーグルのカレンダーを同期しています。つまり、ふみ姉のスマホのカレンダーに、パパのスケジュールも出るんです。いっぱいいっぱいで仕事と家庭を切り盛りしているので、お互いの予定を見ながら新しい予定を組んでいるんですよ。いや~、便利だよね~!

ところが先日、ばーばがパパに予定を確認して、歯医者の予約をしました。でね、パパがふみ姉の予定を確認しなかったのよ。3日前に歯医者の話をしているから、「その日は私、出張なんだけど。パパ、カレンダー見なかったの?」パパのチョンボで、自分の思い通りに予定を組めないもどかしさにますますストレスを感じたのか、何だかますますじーじへのあたりが厳しく感じるんですけど・・・。

ふみ姉は、どうしたらいい?

経験者は語る

会社に、昨年お父さんを亡くした女性の先輩がいるのね。サザエさんスタイルで同居していた実のお父さんです。 糖尿病もあり、あれよあれよという間に認知症が進んでました。 出勤と同時に、泣きながら家での出来事を話すことから1日が始まる、という時期もありました。今は認知症の親を持つ先輩として、いろいろ相談に乗ってもらっています。

「認知症という病気は本当にコワイ。平和な家庭を壊す」と、その先輩は言います。認知症のせいで暴力的になったお父さんに殴られ、蹴られ、モノをぶちまけたり壊されたりして、大変だった先輩。「死ねばいい」「死んでくれ」と思った時もあり、思った後で、恐ろしいほどの後ろめたさや自分への嫌悪感で気分が悪くなったそうです。

毎日泣きながら「昨日お父さんがこんなヒドイことをしたから叱ったら、蹴られた」などと話す先輩に、「え、そこで叱ったの?病気なんだから仕方ないじゃん」と思ったりしました。

お父さんが亡くなった今、どう思うかと聞くと、「今更病気が治るわけじゃなし、好きなものを好きなように食べさせてあげればよかった。大好きだった、強く、頑固で一途なお父さんがみっともなくなり、面倒を見てくれる旦那さんに迷惑をかけるのがつらかったけど、病気なんだから、すべて私が折れれば済んだことがいっぱいあった」と後悔している様子。でも、当時はとてもそんな風には考えられなかったと。

認知症は家庭を壊す?

じーじの認知症は、まだこれから進みます。 先輩のお父さんのように、はだしで出かけたり、家の中を糞便で汚したりするかもしれません。 ふみ姉は介護士のように接することができる気がします。まだわからないけど、多分。 でも、ばーばは、きっと無理。 思いが深いからこそ、泣いたり怒ったりすると思う。

ふみ姉は、「なんでこんなところにおしっこするの!」と怒るばーばと、うまく付き合う自信がないのデス。

ストレスのせいか、ばーばの魔女ぶりに陰りが見えるのも心配なんデス。

高校、大学がないふみ姉の住む町で、進学を控える息子たち。生活環境も大きく変えざるを得なくなる。それは親に回す時間が圧倒的に減ることを意味するんだけど、大丈夫なんだろうか。

・・・認知症は家庭を壊すのでしょうか?

なるようになるさ、ってふみ姉も、さすがに心配になってきました。

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